木村 陽一

  • 日旅ビジネス・サポート株式会社
    (株式会社日本旅行グループ)
  • 代表取締役社長
  • 木村 陽一
  • 1975年 外国語学部 英米語学科 卒業
木村 陽一

英語に打ち込んだ学生時代、密かな楽しみは京都の寺社仏閣巡り

 英語が大好きでしたので、学生時代は英語と名のつく単位はたくさんとりました。他大学の教授にまで質問を送るほどゼミは熱心に取り組み、卒業論文を英文で書き上げました。でも、ゼミの教授からの評価はなぜか「良」。自分では「優」だと思っていたこともあって、なぜだろうと疑問に思いました。でも、よくよく考えてみると、色々な人の意見を参考にするあまり、研究論文というより人の受け売りをまとめただけの論文になってしまっていましたね。

 仕送り生活でしたので、清貧で規則正しい生活を送っていたように思います。しかし、外大図書館で蔵書目録を英文タイプライターで作成するアルバイトを2年間ほどし、稼いだお金は大好きなクラシック音楽のレコード購入と京都の寺社仏閣を隈なく巡ることに費やしました。ガイドブックの索引で行ったところを塗りつぶしていくのが密かな楽しみでした。余談ですが、会社に入って、海外ばかり行っている先輩がパリの街で歩いたところを塗りつぶしているのを見て、上には上がいるもんだなと感心しました。

 仕事柄海外にもたくさん行きましたが、外国人に対して物怖じせずに自然と接することが出来たのは、やはり学生時代の経験が生きているのかな、と思いますね。

高校時代の憧れを実現

 1969年、私がまだ高校生の頃、アポロ11号が月面着陸を果たしました。そのテレビ中継で同時通訳者の存在を知り、英語をこんな風に操れるようになりたい、と思いました。その翌年、テレビドラマで「アテンションプリーズ」という番組があり、飛行機に乗って海外を旅したいと思ったのが旅行業界に進むことになったきっかけです(因みにこの番組は、2006年に上戸彩が主人公でリメイクされました)。 

 卒業後、株式会社日本旅行に入社し、修学旅行営業を皮切りに、法人営業、店頭営業や提携販売営業を行う総合旅行支店の支店長を経験。その後は管理部門を渡り歩きました。具体的には、関西営業本部で営業企画、中部営業本部で営業本部長、東京本社で経営企画、グループ事業、総務人事、営業企画部門を歩み、取締役として国内旅行やインバウンド、更には情報システムやコンプライアンス・内部統制等を担当致しました。2012年、日本旅行の役員を退任し、日旅ビジネス・サポート株式会社の代表取締役として、日本旅行の営業や業務支援を行うとともに、自らの企業価値を高めるため、官公庁から公示される地域活性化事業にも独自で取り組んでいます。自治体の観光を軸とした活性化、訪日外国人誘致のためのプロモーション事業にも積極的にチャレンジし、この分野において専門性を発揮していきたいと考えています。
キャプション
キャプション

趣味のクラシック鑑賞が活かされた思い出に残るツアー

 学生時代のクラシック音楽好きの友人に感化されたのがきっかけで、今でもよくコンサートホールに足を運びます。私が大阪京橋支店長の頃、大阪城近くにある「いずみホール」が開設され、翌年(1991年)が「モーツァルト没後200年」にあたったこともあり、記念ウィーンツアーを提案しました。この案が採用され、会員の皆様と一緒にウィーンを訪れました。ウィーンコンツェルトハウスで小澤征爾指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のモーツァルトの交響曲等を鑑賞しました。大熱演に対しての拍手、歓声、スタンディングオベーションに加え、足まで踏み鳴らす喝采があるとはその時初めて知りました。アンコールはバッハ「G線上のアリア」。今でも忘れられない思い出です。

 関西で1995年阪神淡路大震災を、2011年に東日本大震災を東京で経験しました。いずれも管理部門におりました。余震の恐怖に怯えながら、お客様の安否確認、契約施設様の被災状況把握、社員・家族の安否確認や救援物資輸送に明け暮れた毎日を送りました。観光は人々を元気にする力があると再認識し、被災地の観光振興の大切さを強く感じ、取り組むきっかけとなりました。

これからの旅行業界の存在価値とは?

 旅行業は転換期にあります。JR・航空の切符、世界中のホテルや旅館などネットで簡単に予約ができる時代です。その中で旅行会社の存在価値とはなんでしょうか。私は、人と人をつなぎ、感動と満足を創出するクリエーターだと考えています。

 旅行業は、幅広い年齢層、あらゆる業種、様々なライフステージと結び付いた生活産業です。また、関係する業界は、宿泊、観光、運輸機関、海外のオペレータ(旅行会社)をはじめ、観光庁、観光協会、諸外国政府観光局などの公的機関と幅広く、グローバル化された環境下にあります。旅行に限らず、スポーツや文化交流、各種イベント・大会、地域活性化事業など私たちが活躍できる場は無限に拡がりつつあります。2020年には東京オリンピック・パラリンピック開催が予定されており、ますますその可能性が高まることになるでしょう。

 このような中で、総合的にプロデュースしていくことが旅行業に求められているのではないかと考えます。チャレンジ精神とホスピタリティーマインドに溢れ、豊かな発想と感性を持ち、語学力も含めたコミュニケーション能力と調整能力のある人材を求めています。是非、一緒に日本を元気にしましょう!

掲載:2014年4月
キャプション