小島 久枝

  • ホテル日航金沢
  • チーフコンシェルジュ
  • 小島 久枝
  • 1985年 外国語学部 英米語学科 卒業
小島 久枝

異文化コミュニケーションの楽しさを経験

 在学中は、通訳ガイドクラブ(IGC)の活動に多くの時間を費やしたと思います。 寺社仏閣等の日本文化を学び、英語で伝えるという事に取り組みました。夏の合宿や秋の外大祭といったイベントに加え、清水寺でのボランティアガイドを毎年行っていました。「勉強のために案内をさせてください」と海外の方にお声掛けするのには大変な勇気が必要でしたが、この取組みのおかげで、異文化コミュニケーションの楽しさを経験することができました。授業よりもクラブ活動の時間の方が、今でも色濃く記憶に残っており、クラブの素晴らしい先輩・後輩・仲間たちに恵まれた事に感謝しています。

 日本の素晴らしさを学び、それを海外の方に伝える事の楽しさは、当時も今も共通した思いであることは間違いありません。

世界を見てみたい

 外大卒業後、この目で世界を見てみたいと思い日本航空に入社し国際客室乗員部に配属となりました。当時でいうところのスチュワーデスとして、直行便就航前の南廻り・北廻り線を含めると、25ケ国35を超える世界各地へのフライトを経験しました。約10年間のJALでの勤務を経て、結婚を機に地元へ戻ることが決まった折、幾らかでもJALでの経験を活かし、また、海外と繋がりのある仕事ができればと思っていました。そんな矢先、JALの先輩にホテル日航金沢開業のニュースを知らせていただき、面接の結果、開業準備室に就くご縁に恵まれました。

 ホテルコンシェルジュの道へと歩みを進める中、ある日、パリからの女性写真家のお客様より、ご到着直後に『明日からの2日間をどう過ごすか全てを貴女に委ねる』という依頼をいただきました。お客様にとってどのようにお過ごしいただくのが最適なのか、与えられた僅かなインフォメーションをもとに、あれこれ思い巡らし、ある一つのプランをご提案しました。翌朝、お客様にとってどうか良い1日となりますように、と祈る思いでお見送りをしたその日の夕方、満面の笑みでコンシェルジュデスクに立ち寄り下さいました。一日を如何に有意義にお過ごしになったかをお話し下さり、会話の最後に、私が白と緑の花束が好みである事を確認して、明日は早い出発だから、と客室へお戻りになりました。やがて、私が当日の仕事を終える頃、コンシェルジュデスクにホテル花屋のスタッフから、カサブランカの大きな花束と彼女からのメッセージが届けられ、パリジェンヌの素敵な心遣いに感激し、大きな励みとなりました。
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心ある質の高いサービス提供を目指して

 1997年より、コンシェルジュの世界的組織レ・クレドールのメンバーとして、日本におけるコンシェルジュサービスの質の向上と後進の育成に努めています。また、フライトやコンシェルの経験を通してホスピタリティについてお伝えする講演や、金沢市や石川県の観光関連等の委員として、現場の声を届ける機会を頂いている事に感謝しています。
 2015年の北陸新幹線開業後、金沢を訪れる国内外のお客様が大幅に増加しています。 2020年には訪日外国人旅行者数を4,000万人に増やすための「観光先進国」への新たな国づくりが始まっています。この事を受け、金沢、ひいては日本を訪れた海外のお客様に、心ある質の高いサービスを提供できるよう自らも精進し、後進の育成に努めたいと思います。また、日本全国の同じ志とスキルでお客様を迎えるコンシェルジュとのネットワークを更に充実させ、レ・クレドールの世界中の多くのメンバーとも力を合わせつつ、観光業界発展に微力ながら寄与できればと願っています。
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人としての優しさや奥深さを培う貴重な時間

 人様の喜びを自分の喜びと感じられる事、人としての深みが仕事人としての厚みや幅に繋がると信じております。優しさや奥深さを培う為に、大学時代は貴重な時間。どうぞ豊かにお過ごし下さいますように。

掲載:2018年11月