横出 彰

  • エレマテック株式会社
  • 代表取締役社長
  • 横出 彰
  • 1984年 外国語学部 英米語学科 卒業
横出 彰

金銭に拠らない互助の関係が人生の宝に

 3年間で卒業に必要なほぼ全ての単位を取得したこともあり、4回生は文化会会長として傘下のクラブを束ね、新入生歓迎会をはじめ、系統祭(当時)や学祭など、運営の中心的役割を果たしました。当時は文化会本部も男子は坊主頭か丸刈りで、公式行事には本部役員全員にブレザー着用が義務付けられていました。本部役員は傘下のクラブから招聘されるのが慣例となっていましたが、時間的にも精神的にも負担が大きく、就任を断る者も少なくはありませんでした。だからこそ、そのような環境においても役員に就任した者の多くは、アルバイトを早朝や深夜にしながら奉仕の精神で任務にあたっていた苦学生たちでした。それ故にメンバー間の結束力は固く、金銭に拠らない互助の関係は、今でも私自身の人生の宝となっています。

 学生時代を振り返れば、多くの時間を本部室で過ごしたのは間違いありませんが、空き時間を作っては図書館に籠って読書したり瞑想したことも、今では懐かしく思い出されます。

実学を重んじる関西外大ならではの学びが社会に出てから生きてくる

 社会に出てからの組織統率の場面でも、文化会本部時代の活動や経験に拠るところが大きいと感じることがしばしばあります。組織間においては対立する関係も多く、意見交換のプロセスや利害調整が必要不可欠ですが、それらを学生時代に経験したことは、貴重な経験であったと思います。もちろん実学を重んじる関西外大ならではの学びの数々が、ビジネス英語やキャリア構築に役立っていることは言うまでもありません。

英語を武器に生きて行こうと決めていた

 大学に入学する前から英語を武器に生きて行こうと既に決めていたこともあり、貿易商社に勤務して以来、ずっと英語に携わる仕事に従事してきました。中でも、メーカーでの8年間の海外駐在を経て培ったビジネス英語を差別化要因にして総合商社に転職してからは、さまざまなサバイバルを重ねて現在に至ります。

サインをする側と貰う側、その立場の違いに苦しむ

 サラリーマン人生35余年間で一番長かった職場が英国での海外駐在8年間になりますが、当初は行き過ぎた現地化経営にあって、一部社員は日本本社の傘下であることすら知らない状況でした。出向当初は、40社もの日系家電メーカーの担当マネージャーであったものの、決裁権は極めて限定的であり、社内で決裁サインをもらう立場でしかありませんでした。しかし、英国企業では限定的な立場であると言いながらも、顧客や日本本社からは権限ある駐在員トップとしてのパフォーマンスを求められ、板挟みとなって苦しみました。サインをする側と貰う側では明らかに立場が異なるという現状を、当時、身をもって学びました。

 仕事外でのエピソードとしては、チャールズ皇太子の50歳記念コンサートのサブスポンサーとなって欧州顧客トップ数組を招待し、自らも参列する機会を得たことが挙げられます。火事により一部消失していたウィンザー城の修復こけら落とし行事となったECO (English Chamber Orchestra)によるプライベートコンサートに2ndスポンサーとして協賛し、サッチャー元首相やロスチャイルド卿など、各界の名士が参列する宴席に参列する機会を得たことは、英国でのハイライトとなりました。
キャプション

サービス業型の商社であり続け、100年企業を目指したい

 エレマテックは今年で創業72年、中長期的には100年企業を目指したいと考えています。変化のスピードが早いエレクトロニクス業界にあって、変化に柔軟に対応しながらユーザーとベンダーから求められる機能を構築し、その価値が認められるサービス業型の商社であり続けたいと考えています。何より経営に当たっては「合理性」を重視し、「市場価値」を尺度に価値創造に努めています。
キャプション

競争相手は日本人だけではない

 外大生は、語学において一般の大学生を凌駕すべきだと思います。理系大学生でも英語は出来て当たり前の昨今、外大生が語学で負けていては他に勝てるものは何もないと認識すべきです。逆に、外大生であっても物理に興味を持ったり、リベラルアーツに造詣を深くすることは社会人として必要ではないでしょうか。関西外大は英米語学科であって、英文学科ではありません。その特徴である実学としての英語に磨きをかけ、ひとつの武器として社会を渡って行ってほしいですね。

 特に英語や中国語はビジネスでの汎用性が高く、どのような業界においても需要はありますが、そのレベルは韓国や中国と比べて劣勢にあるといえます。その理由は至ってシンプルで、国内に職が潤沢にあるかないかだと思われます。韓国や中国では、職を得るために外国語を備えて海を渡る必要に迫られており、日本企業にも盛んに職を求めに来ています。そう、既に競争相手は日本人だけではないのが現実であり、外国人の方がハングリー精神旺盛です。外国人と対等に渡り合うためにも、外大生はハングリーであってほしいと願っています。

掲載:2019年6月

横出 彰(よこで あきら)氏 プロフィール

1984年 貿易商社である茶谷産業に就職
1988年 ローム株式会社に転職
1988年 国際本部に所属。主に欧州現地法人を担当し、英国法人の立ち上げに参画
1992年 英国駐在
1996年 Deputy Managing Directorとして現地法人経営(~2000年)
2001年 豊田通商株式会社に転職
2001年 情報電子部においてトヨタグループ海外工場向け電子部品調達ビジネスの立ち上げに従事
2005年 豊田通商傘下となったトーメンデバイスに出向し、常務取締役として経営に参画
2007年 豊田通商に帰任し電子事業統括部長としてグループ内のエレクトロニクスビジネスを統括
2012年 エレマテックに出向し取締役常務執行役員
2018年 取締役専務執行役員
2019年 代表取締役社長就任

【公式ホームページ】
エレマテック株式会社